Sweet Brissie life

ブリスベンでのサトウキビ博士研究生活の甘くない備忘録

Vermeer

フェルメール展、いってきた。

芸術はド素人だけど、だからこそ時代や人物の背景や絵に込められた意味なんかを解説してくれる美術展は楽しめるなぁ。

 

牛乳を注ぐ女 (The Milkmaid)

女性の衣服の青黄赤の鮮やかな色彩、パンなどの静物の存在感、牛乳の注がれる一瞬を切り取った永遠感。込められた意味を調べたらWikiとかにも膨大に書かれていた。

 

リュート調弦する女(Woman with a Lute)、手紙を書く女(A Lady writing)、真珠の首飾りの女(Woman with a Pearl Necklace)

まとめたのはその共通点の黄色い上着が印象的だから。ラピスラズリによるフェルメールブルーが有名だけれど、黄色もとても鮮やか。そして3作品に同じ上着が描かれ、解説によると彼の財産目録に記されたものと同一とみられているらしい。しかも同時期の画家メツーの作品にも類似のものが登場している。こういう絵や画家を横断した存在感っておもしろいな。

 

赤い防止の娘 (Girl with the Red Hat)

カメラ・オブスクラ(写真機の原型)での写真に見られるようなぼやけ(ハレーション?)を再現したような描き方(by解説)。確かフェルメールは同郷の顕微鏡の父レーウェンフックとも親交があったそうな。彼の科学技術への関心がうかがえるし、それによって光の魔術師と言われるほどの光の表現が支えられているんじゃないかな。

 

全体的に、お馴染みの構図と光の表現はもちろん、線の表現による印象や配置されたものに込められた意味なども多く盛り込まれていて(ワイングラスや手紙を書く婦人と召使いなんかに見られる人物の表情、ステンドグラス、壁に飾られた絵など)深みを感じた。まぁ絵画って誰のものもそういうもんかね。

 

フェルメールの9作品は順路の最後、それまでは17世紀のオランダ絵画が並ぶ。

 

個人的には風景画、特に海の風景のものに惹かれたな。当時の航海技術の発展と関心が現れている気がして(まぁ、調べてみたら大航海時代も終わりの方だったようだけれど)。当時から慣れ親しまれたニシン漁の様子、逆に普段お目にかかれない捕鯨の様子を描いたものなど、それらが当時関心を集めていたんだろうな。

 

あとはハブリエル・メツー。フェルメールと同時期で影響もうけているとのことだったけど、構成だったり色遣いだったりとてもフェルメールに似ていた。それでもやはりフェルメールが圧倒的に評価されてるんだな...ただメツーのほうが作品(対象)は多様だったらしいから、機会があればもっとみてみたいな。

 

改めて、自分が美術鑑賞するときの焦点は、背景や意味に置かれているんだなぁ。やっぱり頭で鑑賞しがち。純粋に絵を観て受ける印象もあるはずだし、それに対する感性も磨いていきたい。どうするのか知らんけど。

 

にしてもさすがのフェルメール、やっぱり人気。

欲を言えばもう少し人の少ない状態で見に行きたかった。